なぜ手放せないか
旅とグルメを書く仕事に、酒席はついて回る。地酒、地ビール、土地のワイン——断る理由はどこにもない。問題は翌朝で、二日酔いの頭で書いた原稿は、たいてい翌々日に自分で消すことになる。この錠剤は、呑むことそのものより、「呑んだ翌朝も働ける身体」を保つための備えだ。
蘊蓄をひとつ
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれる。痛みも音もあげずに黙々と働き、悲鳴を上げる頃には手遅れということも多い。沈黙する相手だからこそ、こちらから声を掛け、労わってやる必要がある。健啖家・健飲家の流儀とは、要するに後始末の上手さのことだ。
相棒としての筋の通し方
第六回のビールマグと、この第十回の錠剤は、一対で私の食卓に立っている。存分に味わう道具と、存分に味わうための道具。どちらを欠いても、私の旅は長続きしないだろう。
