なぜ手放せないか

マメは、皮膚と皮膚がこすれて生まれる。指が一本ずつ独立していれば、指同士の摩擦も、たまった汗もぐっと減る。普通の靴下で歩いた翌日と、これで歩いた翌日とでは、足の機嫌がまるで違う。旅の予定を狂わせる原因の上位は、いつだって足元の小さなトラブルなのだ。

蘊蓄をひとつ

足の裏には、全身の汗腺の中でも特に密度の高い汗腺が集まっている。一日にコップ一杯ぶんもの汗をかくという。その湿気を指の股に溜め込まないこと——蒸れと摩擦を断つこと——が、長く歩くための地味で確実な技術である。

旅での相棒ぶり

最初に履いたときの、指が一本ずつ布に包まれる妙な感触は、三歩で病みつきになった。今では裸足より素直に、地面を掴んで歩ける気がしている。