イカの街が、イカに困っているという話
2025.03.04 ・ 北海道 ・ 逸話・裏話

「最近、イカねぇんだよね」
ある店で、何気なくイカの話を振ったときのことだった。カウンターの向こうにいた店員が、軽い調子でそう言った。
函館といえばイカ。しかしそのイカが最近はあまり獲れないらしい。現地で聞いた、少しだけ現実的で、少しだけ印象に残る話
冗談かと思ったけど、どうやら本気らしい。
詳しく聞くと、ここ数年はスルメイカの不漁が続いていて、以前のように安定して入ってくるわけではないという。値段も上がっているし、仕入れも日によってばらつきがある。
“名物”は、ずっとそこにあるわけじゃない
観光地の名物って、いつでも同じように存在しているものだと思いがちだ。でも実際はそうでもないらしい。
海の状況や気候、いろんな条件で、当たり前のようにあったものが急に減ることもある。
函館のイカも、まさにそれだった。
それでも、イカはちゃんと出てくる
とはいえ、街からイカが消えたわけではない。市場に行けば水槽に泳いでいるし、居酒屋に入れば普通にメニューにある。
ただ、それが“当たり前じゃなくなっている”というだけだ。
そう思って食べると、少しだけ味わいが変わる気がする。
地元の人は、意外と淡々としている
面白かったのは、この話をしている地元の人たちが、そこまで深刻そうではなかったことだ。
「まぁ、そのうち戻るんじゃない?」とか、「ダメなら別の魚食えばいいし」とか、そのくらいの温度感。
もちろん内心はいろいろあるんだろうけど、少なくとも観光客に見せる顔は、驚くほどフラットだった。
旅先で聞く“少しだけリアルな話”が好きだ
こういう話は、ガイドブックにはほとんど載っていない。でも実際に行って、少し会話をすれば自然と出てくる。
綺麗な景色や美味しい料理もいいけど、それとは別に、こういう“現地の現在地”みたいなものを聞けると、その街の見え方が少し変わる。
それでも函館は、やっぱりイカの街だった
不漁だと言われても、結局イカは美味かったし、街のあちこちにイカがいた。
たぶんこの先、状況がどう変わっても、この街はしばらく“イカの街”であり続けるんだと思う。
そういう少し曖昧な安心感が、この街にはある。
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