仕事鞄のまま見上げた、はじめての沖縄の空
2025.06.18 ・ 沖縄 ・ 旅行記

沖縄へ行くのは初めてだった。
飛行機が降下を始めた頃、窓の外に見えた海の色が妙に印象に残っている。
青というより、光そのものが水に溶けているような色だった。
今回は仕事での訪問である。
観光旅行なら最初から浮き足立っていただろうが、スーツ姿のまま到着したこともあり、どこか現実感の薄いまま旅が始まった。
だが仕事が終われば話は別だ。
畔蒜ジョージの旅心というものは案外単純で、少し自由な時間ができるだけで勝手に動き出してしまう。
仕事で訪れた沖縄だった。二泊三日、その大半は予定で埋まっていたはずなのに、不思議と記憶に残ったのは会議室でも取引先でもなく、南の島の風と夕暮れだった。
南の島は、思ったよりも普通だった
沖縄へ来る前は、もっと非日常的な場所を想像していた。
どこを見てもリゾートで、どこを歩いても観光地のような景色が続くものだと思っていた。
だが実際は違う。
那覇の街には学校があり、スーパーがあり、通勤途中らしい人々がいる。
当たり前の話なのだが、その当たり前が少し嬉しかった。
旅先が生活している。
観光地ではなく、人が暮らしている。
そういう街は好きだ。
路地を歩けば洗濯物が揺れ、商店の前では近所の人が立ち話をしている。
初めて訪れた土地なのに、どこか肩の力が抜けた。
旅先との出会いは、こういう何気ない景色から始まることが多い。
国際通りの喧騒と、その一本裏側
せっかくなので国際通りも歩いてみた。
観光客で賑わい、土産物屋が並び、沖縄らしい音楽がどこからともなく聞こえてくる。
もちろんそれも楽しい。
だが私の記憶に残ったのは、その一本裏の道だった。
少し外れるだけで急に静かになる。
古い建物が残り、小さな飲食店がぽつぽつと灯りをともしている。
先に見える人影エックスは知り合いではなかろうか――そう思ったが、当然まったく知らない人だった。
旅先では時々こういう勘違いをする。
知らない街なのに、なぜか懐かしく感じる瞬間があるのだ。
海は景色ではなく、空気だった
沖縄へ来て驚いたのは海だった。
いや、正確には海そのものではない。
海の存在感である。
街を歩いていても、どこか海を感じる。
風が違う。
湿度が違う。
光の反射が違う。
本州では海岸まで行かなければ海を意識しないことも多い。
しかし沖縄では、海が街の背景になっている。
仕事を終えた夕方、ぼんやり海辺に立っているだけで時間が過ぎていった。
私、畔蒜ジョージは、この海との出会いをずいぶん長く待っていた気がする。
沖縄の夜は、ゆっくり酒が進む
夜になれば沖縄料理も楽しみたくなる。
島豆腐。
海ぶどう。
ゴーヤーチャンプルー。
泡盛。
どれも名前は知っていた。
だが実際に現地で味わうと印象が変わる。
料理だけではない。
店の空気も含めて沖縄料理なのだと思う。
店員も客もどこか急いでいない。
会話がゆっくり流れていく。
畔蒜ジョージの旨いめし歩きでも様々な土地を巡ってきたが、沖縄ほど時間の流れが穏やかに感じられた場所はそう多くない。
料理との出会いも嬉しかったが、それ以上に“急がなくていい夜”との出会いが印象的だった。
帰る頃には少しだけ名残惜しくなる
二泊三日という時間は長いようで短い。
仕事で来たはずなのに、帰る頃にはすっかり旅人になっていた。
まだ見ていない場所も多い。
まだ食べていない料理もある。
けれど、それくらいで良いのだと思う。
全部見てしまったら、また来る理由がなくなってしまう。
空港へ向かう車窓から見えた青い空を眺めながら、そんなことを考えた。
初めての沖縄は、観光地との出会いよりも、風や光や時間との出会いが多い旅だった。
そしてそれこそが、この旅で持ち帰った一番大きな土産だったのかもしれない。
あわせてどうぞ
#沖縄 #初めての沖縄 #出張旅 #ひとり旅